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ナガサキ工業株式会社
「グローバル愛知」の立ち上げで
地元中小企業の人材不足に光を
・名古屋市緑区
・金属加工製造業
従業員数 216名 (本社採用の外国籍社員数 9名) 2018年8月
海外拠点 中国、シンガポール
一般社団法人グローバル愛知 事務局長
Elliot Conti(エリオット コンティ)さん
出身国:アメリカ 28歳 入社2年目
大阪市立大学大学院 人間行動学研究科社会学コース卒業
担当業務:法人運営、事業企画、営業
Company message:企業のメッセージ
教育やカウンセリング、フォロー。
外国人材採用の“負荷”も手助け
総務室
TRIEU THI THANH THUY(ティウ ティ タン トゥイ)さん
出身国:ベトナム 33歳 入社3年目
名古屋経営会計専門学校 日本ビジネス科卒業
担当業務:経理、労務管理、実習生のサポート業務
Foreign Employee:外国籍社員
留学生と企業のマッチングを展開。
交流の場の提供や、インターン実施も
グローバル愛知で事務局長を務めるのは、ナガサキ工業から出向するエリオット コンティさん。長﨑さんとは留学生時代に知り合い、さまざまなことを話す中で、留学生も中小企業も相互で同様の悩みを抱えていることを知り、長﨑さんの誘いを受けて同社に入社。
社長らとともに、グローバル愛知の立ち上げに尽力し、現職に就きました。「就職したいと考える留学生と実際に就職する留学生の人数が比例せず、とても残念。そこにはさまざまな問題点がありますが、双方への情報提供と、言葉の壁をなくす日本語教育が、解決のカギになると考えています。グローバル愛知では、事業展開として留学生と企業のマッチングだけでなく交流の場の創出や、インターンの受け入れも展開する予定です。留学生間や企業間のネットワークづくりも積極的に行っていきたいですね」留学生に対しては「就活の際、就職したい企業に、自分がどんなスキルを提供できるのかを客観的に知ることは重要です。
英語も日本語も話せるというだけで、ほかの人との差別化にはなりません。また企業のブランド力だけにとらわれず、自分の価値観と性格に合った企業を選ぶことも大切だと思います」とエールを送ってくれした。このほか、ナガサキ工業では外国籍社員の採用を独自に行い、現在9名が在籍していますが、ティウ ティ タントゥイさんもその一人。「私たちにとって日本語の学習はとても大切ですが、それ以外にもたくさん身につけなければならないことがあります。そんな中、この会社では参加できる研修やセミナーが充実しているので積極的に利用していますが、それがとても役に立っています。これからも幅広く知識を身につけ、たくさんの仕事に挑戦したいですね」と笑顔で話してくれました。
地元に根付く企業として信頼を築き上げてきたナガサキ工業株式会社。しかし、中小企業の人材不足という問題は同社にとっても同様で、経営上での大きな悩みとなっていました。そんな中、代表取締役の長﨑洋二さんらが中心となり、2017年8月に立ち上げられたのが一般社団法人グローバル愛知です。
この団体は高度人材の留学生たちが、日本での就職を希望しているにもかかわらず、できないまま帰国している現状を憂慮し、中部エリアで事業を展開する経営者に呼びかけて設立されたもの。
ナガサキ工業で総務室マネジャーの浅野智也さんは「中小企業の多くが人材不足に悩んでいると思いますが、留学生を含め、外国籍の社員を雇用するにはさまざまな壁があり実践を難しく感じる企業は多いはずです。とくにこれまで、高度人材の留学生を採用するための情報やきっかけが少なかったと思いますが、今回の設立で両者の懸け橋ができたのではないでしょうか。今後、中小企業全体に良い影響が出ることを期待しています」と話します。
「また外国人材は、多言語を仕事で活用できるだけでなく、日本で働きたいという意欲が強く仕事にも前向き。とくに仕事への取り組み姿勢への意識は高く、それに影響され、自分もがんばろうと考える日本人社員も多いように感じます。情報網の拡大という意味でも、外国人材の採用効果は高いと考えます。
しかし、採用の魅力は多い半面、採用後の教育やカウンセリング、アフターフォローなど、自社だけでは対応しきれない部分があるのも事実。こうした不安などもグローバル愛知は、解消につなげてくれると思います」